社会的学習理論(モデリング技法)

社会的学習理論に基づくモデリング技法の紹介

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社会的学習

人の経験は、本人が直接的に体験した直接経験と、他人の経験を見聞きした代理経験の2つがあります。社会的学習は後者の代理経験によって学習が成立する過程のこどで、他人をモデルにして学ぶことから「モデリング」と呼ばれます。

このモデリングによる社会的学習を理論的に説明しているのが、アルバート・バンデューラに代表される社会的学習理論(social learning theory)です。

2つの社会的学習の形態

●観察学習

  • 見聞きしたことによって成立する学習
  • :TVで煙草に火をつけるシーンを見て煙草を知る

●模倣学習

  • 見聞きした内容をマネすることで、その行動を強化する学習
  • :TVで見たように煙草に火をつけて吸ってみる

モデリング実験

バンデューラがおこなった観察学習の実験です。

児童を実験群と統計群に分け、実験群の子供には、大人がボボ人形と呼ばれる空気で膨らませた大型の起き上がり人形を、叩いたり、投げたり、木づちで叩いたりと乱暴な行動をしている映像を見せます統計群にはなにも見せません。

次に、一人ずつ子供たちをボボ人形がある部屋に入れて行動の観察をおこないます。結果、大人が乱暴をしている映像を見た子供たちのほとんどが、映像と同じようにボボ人形に乱暴な行動をとり、映像を見せていない子供たちとは大きく行動の違いが現れました。

この実験から、子供たちが観察によって学習し、何らかの強化子(報酬)が無くても模倣によって自発的な行動をすることが明らかになりました。

モデリング

また、別の実験では、子供たちを3群に分けて、大人がボボ人形に乱暴をする映像を見せるのですが、1群には乱暴の後に報酬が貰える映像2群には乱暴の後に叱られる映像、3群は乱暴するだけの映像を見せました。

この実験は、罰を受ける映像を見た子供たちに模倣が起こるのかを観察したものです。結果、他の群よりは少ないものの、ほぼ同数の乱暴行動が確認されました。この実験から観察学習は強力な強化になりうることを証明しています。

モデリング(観察学習)の過程

●注意過程⇒保持過程⇒運動再生過程⇒動機づけ過程

  1. 注意過程:モデルの行動に注意を向ける
  2. 保持過程:観察したモデルの行動などを記憶する
  3. 運動再生過程:記憶したモデルの行動を再生する
  4. 動機づけ過程:再生した行動を強化

運動再生過程は、イメージと再生した行動の違いを観察(内的なフィードバック)することによって行動が修正洗練されていく過程です。動機づけ過程には、その行動をおこなって得た満足感や楽しさなどの自己強化と、行動をして「褒められた」といった外的強化、「あの人はこれをやってあんなにいい思いをしてる」といったモデルから受ける代理強化があります。

モデリング技法・療法

観察学習を用いて特定の行動を増やしたり減らしたりすることをモデリング技法といいます。また、治療的に用いる場合にモデリング療法と呼ぶことがあります。

例えば、虫に強い恐怖反応を示す人にモデルが虫と楽しく遊んでいる映像を見せて観察学習を促すように治療的に用いる。また、スポーツの技能訓練では多くがモデリング技法を用いています。


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